なぜアルパインはこのような低い買収価格を受け入れたのでしょうか?

弊社では、アルパインがこのような低い買収価格を受けいれたのは、手続き及び企業価値の評価手法の公正さに問題があり、これが最終的に少数株主の権利保護を軽視する結果となったと考えます。

以下では、手続きと企業評価における問題点のいくつかの要点を述べています。
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手続きにおける欠陥

  1. アルパインの株価が上昇する前の安い株価で買収価格を決めています。買収は2019年になってようやく完了する予定ですが、これは過去30年間の日本における合併時の最長のリードタイムとなっています。弊社では、アルプス電気が公表資料に記載している2019年および2020年の営業増益によって株価が上昇する前に、割安な価格でアルパインの買収価格を固定するため、このように行ったと考えています。アルプス電気は、アルパインの事業および将来の収益機会を誰よりも熟知しており、この優位な立場を利用して、公正価値を大きく下回る最低価格でアルパインを買収することを模索しているのではないかと、弊社は強く疑っています。  
  2. コントロールプレミアムが付与されていません。アルパインは、アルプス電気の連結子会社でありますが、アルプス電気による株式保有比率は50%未満です。従って、この事自体が、買収にあたっては類似企業から算出されるアルパインの評価価値に加えて、コントロールプレミアムを支払うべき理由であると考えています。
  3.  “ゴーショップ条項”が備わっていません。少数株主の持分を保護するため、取締役会は他の投資家にも接触して、アルパインの価値および会社の支配権に対しての実質的な市場価値の調査を行い、アルプス電気が支払うべき価格を決定すべきでした。これこそが真の公正価値となりえ、市場の第三者に買収価格を問うことこそが真の公正価値を知る唯一のテストであり、少数株主にとっては最良の取引と言えます。 
  4. 最初から結果ありきの買収でした。アルパインは、交渉の終結前の2017年5月23日に残りの本社従業員をアルプス電気の本社に移す計画を発表していました。従業員の大部分はアルプス電気の事業所にすでにいたため、アルプス電気は実質的なアルパインの支配力をさらに拡大していたと考えられ、アルパインが少数株主のために最良の価格を模索する機会は残されていませんでした。

 

 

価値評価における欠陥

アルパインは、SMBC日興証券によって提供された企業価値評価に依拠し、市場株価法、類似会社比較法およびDCF法によって算出された価値の範囲に基づいていました。

1.   市場株価法

  • アルパインは公正株価から著しく割安な水準で取引がされてきました。これは、不十分なコーポレートガバナンスとアルプス電気と関係から生じる低い流動性が原因によるものです。アルパインを非常に安く買収することで、アルプス電気は、部分的にはアルプス電気も非難されるべきアルパインの不十分なコーポレートガバナンスによって利益を得ようとしています。
  • 買収が完了するはるか前に買収価格が決定されることで、少数株主にとって、今後18年度、19年度に予想される営業増益による株価上昇から利益を得る機会が減少してしまっています。
  • 市場株価法は、それ自体、必ずしも長期的な観点での公正価値を決定するものでも、大多数の株主が意図する株価を反映しているわけではありません。また、コントロールプレミアムを少しも反映していません。従って、必ずしも“公正”な買収価格を算出するためのデータとして相応しいわけではありません。

2.   類似会社比較法

  • SMBC日興証券は、類似企業として、パイオニア、JVCケンウッド、クラリオンの3社を使用しましたが、3社のうち2社はファンダメンタルズ面で問題点があり、そのような企業を類似企業として用いることが、アルパインを過小評価する要因になっています。
  • パイオニアは、過去3年間のうち2年間赤字を計上しています。ロシアやブラジルなど不安定な地域の予測が困難なアフターマーケット部門の構成比も高いです。これは、アルパインが強い関係を持つ大手欧州自動車メーカーの安定した事業とは大きく異なります。
  • JVCケンウッドは損失を計上しているだけでなく、アルパインと比べて事業内容が大きく異なり、自動車関連事業の営業利益構成比は38%未満であることに加え、OEM事業からの割合はさらに小さくなっています。一方、アルパインは、BMWやアウディなどヨーロッパのトップ自動車メーカーと強い関係を築いています。

3.   DCF法

·         アルプス電気は、現金、有価証券、関連会社投資等の非事業用資産を無償で手に入れようとしています。弊社では、公表資料に開示されている限られた情報に基づきDCF法による評価を再現しようとしましたが、SMBC日興証券の評価で示されたような低い株式交換比率を得ることはできませんでした。このため、SMBC日興証券は現預金、有価証券ポートフォリオ、または各種のNeusoftへの投資を計算に含んでいない可能性が高いと結論付けています。これは、少数株主には保有株式の価値が考慮されず、現預金と有価証券の価値がアルプスに無償で渡されることを意味し、少数株主にとって非常に不公平です。さらに、この事はSMBC日興証券の公平さの欠如を示しているため、手続きの不公平さを際立たせるものであると言えます。

·         永続的成長率0%はふさわしくありません。18年度および19年度に予想されている大幅な営業増益予測を考慮すると、SMBC日興証券による0%永久成長率の使用には違和感があり、ふさわしくありません。会社は30%超で成長すると見込んでいます。

·         EBITDAマルチプル法による算出は無意味です。SMBC日興証券はEBITDAマルチプル法の倍率の範囲を3.6から4.6倍の非常に狭い範囲で選択しました。上限の4.6倍は、同業他社のクラリオンよりも低く、同社の過去の範囲よりも低いです。このことは、SMBC日興証券が少数株主持分を保護する意図はなく、可能な限り低価格を模索していたことを示しています。